【谷崎潤一郎『刺青』】優しい解釈篇
本を読まない人も、有名な日本の文学作品を気軽に楽しめたらいいなと思う文学部生、ひよこです🐣
今回は、10分ほどで読める短編、谷崎潤一郎の『刺青』を紹介します。谷崎潤一郎の名前は聞いたことがあるという方も、誰それ?🤤という方も、1作品知っておくのはいかがですか?😊
この記事は活字が嫌いな方、小説は好きだけれど、なかなか本を開く機会がない、という方々に向けて書きました🌈✨
分かりにくい語句には、段落ごとに噛み砕いた語釈をつけたので、是非ご利用ください😊(『日本大百科全書』参考)
谷崎潤一郎『刺青』をひよこと一緒に楽しんでいきましょう✨
『刺青』とはいれずみのことです。谷崎潤一郎の作品では「シセイ」と読みます。
作家、谷崎潤一郎ってどんな人?
明治、昭和を生きた小説家です。
当時、自然主義*が主流であった中、谷崎潤一郎は耽美主義*を打ち出し、新時代を切り開きました✨
※自然主義
明治40年代の文学運動の呼称。全ての現象を自然が産むものだと考え、その自然を真実として尊く思い、自然の再現を芸術の目的とした。
※耽美主義
美しいものを創作し提供することに最高の価値を置く立場。美を創り上げることを芸術の唯一、最高の目的として追求する創作態度。
ひよこは谷崎潤一郎は天才であり、変態だと思っています🐣
そんな谷崎潤一郎のデビュー作品が『刺青』です。
『刺青』の登場人物とあらすじ
『刺青』登場人物
〈清吉〉
江戸の刺青師。若いながら名手ともてはやされる腕利き。物語は清吉の目線で進む。
〈女(娘)〉
清吉が求めていた、女の中の女。清吉が刺青をほどこす。
〈辰巳(タツミ)の芸者〉
深川芸者。清吉の馴染みであり、〈女〉を使いとして清吉の元へ連れてくる。
『刺青』あらすじ
刺青師清吉には、美しい女の肌に自分の魂を込めて刺青を彫り込むという、兼ねてからの夢があった。
彼の心にかなう女を探し続けること四年目の夏の夕べ。駕籠(昔の人力で運ぶ乗り物)からこぼれた白い足を目にし、その持ち主こそ探し続けた女だと確信する。しかし、駕籠はいず方ともなく去ってしまう。
翌年の春半ば、偶然駕籠に乗っていた娘が彼の家を訪ねてきた。清吉は娘に二本の巻物を見せ、「これはお前の未来を絵にしたものだ」と告げる。
絵は、今にも刑に処せられんとする生贄(イケニエ)の男を眺める中国の王に溺愛された姫を描いたものと、「肥料」と題する、若い女が桜の幹へ身を寄せて、足下の男たちの死骸を見つめている図柄であった。
娘は絵の女と同じ性分を持っていることを告白し、絵を恐れて見ようとしない。
そんな娘に、清吉は麻酔を嗅がせ、一昼夜をかけて娘の背中いっぱいに女郎蜘蛛*(ジョロウグモ)の刺青を彫り入れる。
それは清吉の魂と全生命を注ぎ込んだものであった。
※女郎蜘蛛
蜘蛛の脚が生えた恐ろしい見た目の女。
眠りから覚めた娘には、臆病なところが少しもなくなり、清吉に向かって「お前さんは真っ先に私の肥料(コヤシ)になったんだねえ」と言い放つ。
帰る前になって「もう一度刺青を見せてくれ」と頼む清吉の願いに応えて、脱いだ娘の背中は、朝日を受けて燦爛*と輝いた。
※燦爛
まばゆく華やかなさま。
(『別冊国文学谷崎潤一郎必携』二〇〇一年一一月一〇日 参考)
最後に
谷崎潤一郎の『刺青』、なんとも衝撃的なお話ですね。ひよこは生命の美しさと、醜さ、欲、を感じました。皆さんは何を感じましたか?
さあここで✨
「刺青を掘ったことで何が変わったの?」
「どうして女郎蜘蛛を彫ったの?」
「途中で呼び方が娘から女に変わってる!」
と思ったそこのあなた!😳
〈研究編〉も書こうと思っているのでお楽しみに☺️
↓〈研究篇〉書きました!
ちなみに谷崎潤一郎の作品の魅力といえば、美しい描写です。この『刺青』でも娘(女)の姿を実に美しく、色っぽく描いています。ぜひ本を手にとって読んでみてください😳
ひよこは小説を読むと、言葉で心が満たされて、なんとも言えない酔いがまわる気がします。また、心の栄養になっている気がするのです。
人として深みがある人は美しい、ひよこはそう想っています。文章が、あなたとひよこを美しくしてくれますように。
最後までお読みいただきありがとうございます😊
ひよこ🐣
ひよこが読んだ(底本として用いた)のは、
『谷崎潤一郎全集第一巻』(一九八一年五月)です。